今回は、運送業で非常によくある労使トラブルについて解説します。
■トラブル事例
「事故を起こしたドライバーがいる。
トラックの修理代を弁償させたいのだが、合意が取れれば賃金から差し引いても問題ないか?」
■結論
まず結論から言います。
賃金からの天引きはやめましょう。
理由は2つあります。
「法律」と「経営」の問題です。
■① 法律的にはグレーどころかアウトの可能性
労働基準法では「賃金全額払いの原則」があります。
これは、
賃金は原則として全額を労働者に支払わなければならない
というルールです。
たとえ本人が同意していたとしても、
・自由な意思とは言えない
・実質的に強制されている
と判断されれば、違法とされるリスクがあります。
つまり、
「合意があるから大丈夫」は通用しない可能性が高い
ということです。
なお、形式上は一度全額支払った後に別途請求することは可能ですが、これも簡単な話ではありません。
■② もっと重要なのは「経営リスク」
ここからが本題です。
正直に言います。
事故の弁償制度は、今ドライバーに一番嫌われます。
今の運送業界は、完全に「ドライバー不足の時代」です。
これからさらに「トラック新法」の流れの中で、
✔ 労働環境の改善
✔ ドライバーの待遇向上
が強く求められていきます。
そんな中で、
「事故したら弁償させられる会社」
という評判が立ったらどうなるか?
答えはシンプルです。
「ドライバーが集まらなくなります!」
しかも怖いのは、この手の情報は一瞬で広がることです。
・元社員の口コミ
・業界内の横のつながり
・SNS
結果として
✔ 採用できない
✔ 定着しない
✔ 現場が回らない
こうして、“じわじわと負け組に転落していく会社”になります。
■ではどうするべきか?
事故対応で本当にやるべきことは、
「個人に責任を押し付けること」ではなく、
「事故を防ぐ仕組みを作ること」です。
例えば
✔ ドライブレコーダーの活用
✔ 定期的な安全教育
✔ 無理な運行スケジュールの見直し
✔ ヒヤリハットの共有
これらに投資する方が、結果的に会社を強くします。
■まとめ
事故の修理代をドライバーに請求するかどうか。
これは単なる「法務判断」ではありません。
会社がこれから勝つのか、負けるのかの分岐点です。
短期的なお金を取るか、
長期的な会社の成長を取るか。
答えは明確だと思います。
あなたの会社では、事故の責任をどう扱っていますか?
