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「どうせ変わらない」という呪縛を、まず解きましょう
2026年3月24日、公正取引委員会が富士通の子会社「富士通フロンテック」に対して下請法(現・中小受託取引適正化法)違反を認定し、再発防止勧告を出しました。
クレジットカード決済端末などの製造を委託する48社に対し、計2,577個もの金型・治具を無償で保管させていたという内容です。
このニュースは、決して「孤立した事件」ではありません。
昨年末から今年にかけて、同様の違反認定や勧告が相次いでいます。
トヨタ自動車の子会社、荏原製作所、シャトレーゼ、東京ラヂエーター製造……業種も規模も異なる企業が次々と名指しされています。
物流の現場では、「ラ・ムー」を展開する大黒天物産が長時間の荷待ちを理由に着荷主として初めて勧告を受け、元請け運送会社が下請け運送会社への代金を不当に減額していた問題も表面化しました。
大黒屋物産は、正確には下請法違反ではないのかな?
どちらにしても、これらのニュースを見て、皆さんはどう感じましたか?
「大企業を見せしめにやっているだけで、現場はどうせ変わらないさ……」
そう思った方も、正直いるのではないでしょうか。
僕が一番歯がゆいのは、そこなんです
運送業の経営者の皆さんにトラック新法や下請法改正の話をするとき、僕は時々、ある種の「諦め」を感じることがあります。
「どうせ荷主は変わらない」
「法律ができても、現場では通用しない」
「うちみたいな小さな会社が言ったって、どうにもならない」
その気持ち、わからなくはないんです。
長年、理不尽な取引慣行に耐えてきた歴史がありますから。
でも、はっきり言わせてください。
それは今、間違いになりつつあります。
僕は、荷主の側でも喋っています
僕がセミナーでトラック新法や下請法改正の話をするのは、運送会社の経営者向けだけじゃないんです。
荷主企業にも呼ばれます。元請け会社にも呼ばれます。
そこで僕は、彼らの「生の声」を聞いてきました。
驚くかもしれませんが、法改正に対して本気で危機感を持っている荷主や元請けは確実にいます。
いや、むしろ多いんです。
物流危機が自分たちのビジネスを直撃するという実感が、彼らにはあります。
「このままでは運送会社が廃業してしまう。そうなったら、うちの商品が届かなくなる」
「法律が変わった今、今までのやり方を続けていたら、うちも勧告を受ける側になりかねない」
そんな声を、僕は現場で何度も聞いてきました。
セミナーの場での彼らの真剣な眼差しは、本物でした。
「変わろうとしている荷主」と「諦めている運送会社」のすれ違い
だからこそ、僕は歯がゆくてしかたないんです。
荷主や元請けが変わろうとしているのに、肝心の運送会社が最初から諦めている。
これほどもったいないことはないと思います。
もちろん、すべての荷主や元請けが誠実だとは言いません。
今もひどい取引を続けている企業は存在します。
でも、法律が変わり、実名で勧告を受ける企業が相次ぐ今「変わらなければ」と動き始めている荷主や元請けは、確かに増えています。
その「変わろうとしている人たち」に、あなたは声をかけていますか?
今が、動くチャンスです
「諦め」は習慣です。長年の苦労の中で身についた、ある意味では自己防衛の知恵かもしれません。
でも今は、その習慣が機会損失を生む時代になりました。
運賃交渉をしてみてください。荷待ち時間の是正を求めてみてください。
「うちも困っています」と、正直に話してみてください。
思っているよりも、真剣に聞いてくれる荷主や元請けがいるはずです。
富士通フロンテックへの勧告は「法律は本気だ」というメッセージです。
大黒天物産への着荷主初の勧告も、「荷主も無関係ではない」という宣言です。
その波を、運送会社の皆さんには追い風として使う側に回っていただきたいんです。
最後に
法律が変わっただけでは、現場は変わりません。
でも、法律が変わったことを武器に、勇気を持って声を上げた人だけが、現場を変えることができます。
僕はこれからも、運送会社にも、荷主にも、元請けにも話し続けます。
でも、変わるのは最終的に、あなた自身です。
諦めないでください。チャンスは、今ここにあります。
