皆さんの会社には、就業規則のほかにも、労使協定、労働協約、雇用契約書、賃金規程、給与明細など、さまざまな書類や規程類が存在するかと思います。それぞれが大切な役割を担っているわけですが、実はこれらの内容に「ちょっとしたズレ」が生じていることがあり、それが思わぬトラブルの原因になることがあります。今回は、そんな記載内容の相違について考えてみたいと思います。
■ 就業規則と労使協定・労働協約のズレ
就業規則と労使協定の内容に違いがある場合、どちらの規定が適用されるのか、従業員にとっても会社にとっても判断に迷うことがあります。たとえば、有給休暇の計画的付与や割増賃金の割増率について、就業規則と労使協定の内容が食い違っていると、どちらに基づいて運用すべきかが不明確になってしまいます。
さらに、労働協約については特に注意が必要です。最近は労働組合の組織率が低下傾向にあり「うちには関係ない」と思われている経営者や担当者の方も多いかもしれません。しかし、労働協約は労働組合法によって強力な効力が認められており、就業規則よりも優先されることがあります。一般の方が想像される以上に強い拘束力を持つものですので、労働協約が存在する場合は、その内容と就業規則との整合性を必ずチェックしていただく必要があります。
■ 雇用契約書・給与明細と賃金規程のズレ
雇用契約書や給与明細と賃金規程の記載が異なるケースも、実は珍しくありません。たとえば、手当の名称が微妙に違っていたり、支給条件の書き方がそれぞれの書類で少しずつ異なっていたりすることがあります。「家族手当」と「扶養手当」「皆勤手当」と「精勤手当」など、名称だけを見ると似ているようで、実は支給対象や金額の計算方法が違う、ということもあります。
こうした小さなズレが積み重なると「給与明細にある手当が賃金規程には載っていない」「雇用契約書に記載された条件と実際の運用が違う」といった問題につながり、従業員からの信頼を損なうことにもなりかねません。
■ 「どちらが適用されるか」より大事なこと
記載内容が異なる場合、法的にはどちらが優先されるのかという問題があります。ただ、今回のブログではその優先順位の詳細には触れません。それよりも大切なのは「そもそも記載内容にズレが生じないようにすること」です。
書類や規程類を新しく作成・改定する際には、必ず関連するほかの書類と見比べながら進めることが重要です。「就業規則をチェックしないで、労使協定を結んでしまった」「賃金規程を変更したのに、給与明細の項目名が古いままだった」といったことが、実際の職場では起きやすいものです。
■ まとめ:神経を尖らせて、整合性を確保しましょう
就業規則、労使協定、労働協約、雇用契約書、賃金規程、給与明細——これらはそれぞれ独立した書類ではなく、互いに連携し合うものです。どれか一つを変更した際は、ほかの書類にも影響が及んでいないかを必ず確認する習慣をつけましょう。
特に労働協約については、その強力な効力をあらためて認識し、就業規則との整合性には十分な注意を払っていただく必要があります。記載内容に違いがあること自体が問題です。トラブルが起きてから後悔しないよう、書類作成・改定のたびに関連書類との照合を怠らず、神経を尖らせて取り組んでいただければと思います。
