外国人ドライバー採用、“気候”という盲点

外国人ドライバー採用、“気候”という盲点

先日、運送業の異業種交流会に参加してきました。山形県の運送会社の社長さんと立ち話をしていたら、外国人ドライバー採用の話題に。最近、東南アジアからのドライバーさんを採用する会社が増えている運送業界ですが、その社長さんいわく「東北はちょっと厳しいかもしれない」とのこと。

理由を聞いて、なるほどと思いました。

東南アジア出身の方にとって、雪も寒さもほとんど経験のない世界。最初は「雪だ!」ともの珍しさで喜んでもらえるかもしれない。でも、それが毎日、何ヶ月も続くとなると話は別。だんだん厳しさの方が勝ってきてしまう。

しかも、東京より西に行けば雪は降らないし、お給料もいい。そうなると当然、そちらに流れてしまう…という現実があるそうです。

採用って、スキルや条件だけじゃなくて、「そこで生活できるか」まで含めての話なんですよね。気候も、立派な労働条件の一つ。

東北の運送会社が押さえておきたいポイント

この話を聞いて、東北で外国人ドライバーさんに長く働いてもらうために、採用時から考えておくべきポイントがいくつかあると感じました。

採用前に「冬の暮らし」をリアルに伝える

求人票や面接の段階で、雪の量や気温、除雪や凍結路面の運転の大変さなど、良い面だけでなく厳しい面もしっかり伝えておくことが大切です。入社後に「聞いていた話と違う」となってしまうと、早期離職につながりかねません。可能であれば、冬季の実際の映像や写真を見せるのも効果的です。

待遇面で「西日本との差」を埋める工夫

給与水準だけで比較されると、どうしても西日本の会社に見劣りしてしまいます。寒冷地手当や冬季の防寒装備支給、住宅補助など、東北で働くことそのものに価値を感じてもらえる待遇設計が必要になってきます。

冬季は運行面でのフォロー体制を厚くする

凍結路面や雪道での運転は、経験がなければ恐怖心も大きいはずです。冬季だけ同乗指導の期間を長めに取る、天候による運行判断を会社側が積極的にサポートするなど、「一人にさせない」体制づくりがドライバーの安心感につながります。

生活面のサポートで孤立を防ぐ

雪国での生活は、除雪の仕方一つとっても不慣れなことだらけです。会社が生活面のちょっとした相談に乗ってくれる、同じ境遇の先輩ドライバーがいる、といった「孤立させない」仕組みがあるかどうかで、定着率は大きく変わってきます。

“雪国だからこそ”の魅力も伝える

厳しさばかりを強調するのではなく、雪景色の美しさや温泉、東北ならではの食文化など、雪国で暮らす楽しさもセットで伝えることで、単なる「我慢の場所」ではなく「暮らしたい場所」として選んでもらえる可能性が広がります。

外国人ドライバーの採用は、これからの運送業界にとって欠かせないテーマです。ただ、今回の社長さんの話を聞いて、採用はゴールではなくスタートなんだと改めて感じました。

「採用してからどう定着してもらうか」まで見据えた設計ができるかどうか。東北の運送会社にとって、これからの大きな差別化ポイントになっていくのではないでしょうか。