「うちの会社、SNSで発信しているのに応募が来ない……」
そんな声を、採用に悩むトラック運送会社の経営者からよく耳にします。
採用コンサルタントのセミナーに参加すると、必ずと言っていいほど登場するのが「SNS活用で採用に成功した企業事例」。InstagramやX(旧Twitter)、TikTokを駆使して若者にアプローチする手法は、いまや採用トレンドの「王道」のように語られています。
でも、ちょっと待ってください。
本当に学生はSNSで就職先を探しているのでしょうか?
■ アンケート結果が示した「意外な現実」
ある新聞社が大学4年生を対象に実施したアンケートで、就職先の情報収集をどこで行っているかを聞いたところ、こんな結果が出ました。
- 就職情報サイト(リクナビ・マイナビなど) 78.0%
- 大学(キャリアセンターや掲示板など) 41.5%
- 合同企業説明会 31.7%
- SNS 9.8%
就職情報サイトがダントツの1位というのは、まぁ予想通り。大学のキャリアセンターや合同説明会が続くのも、なんとなくうなずけます。
驚いたのは、SNSがたったの9.8%だったということ。
採用セミナーで「SNS!SNS!」と連呼される割に、実際に学生が情報収集に使っている割合は10人に1人にも満たない。正直、かなりのギャップを感じました。もちろん、SNSが「認知のきっかけ」になることはあるでしょう。でも、本格的な情報収集の場としては、まだまだメインにはなっていないというのが、学生の本音のようです。
■ 中小企業にとって、これは「朗報」かもしれない
就職情報サイトへの掲載は、確かに効果的です。ただ、費用面を考えると、大手企業との勝負は正直なところ厳しい。露出量もスカウト機能の活用もお金次第というのが現実で、資金力のある大企業には、どうしても見劣りしてしまいます。
でも、このアンケート結果を見ると、「アナログな方法」がまだまだ有効だということが見えてきます。
具体的には、
- 地元の大学・短大・専門学校・高校に足を運んでアピールする
- 合同企業説明会に積極的に参加する
- 学校のキャリアセンターと日頃から関係を築いておく
こういった地道な活動が、実は今も学生の情報収集経路にしっかりとマッチしているんです。
「担当者が直接来てくれた」「説明会でじっくり話を聞けた」——そういったリアルな接点は、就職情報サイトのページをながめるだけでは得られない「温度感」を生み出します。中小企業だからこそ、経営者や現場のスタッフが直接顔を見せて話せる、これは大手にはない強みでもあります。
■ SNSを否定するわけじゃないけれど
誤解しないでいただきたいのですが、SNSの発信をやめましょう、と言いたいわけではありません。
採用に限らず、会社の「ファンづくり」や「認知向上」という意味では、SNSは引き続き取り組む価値があります。ただ、「SNSをやっていれば採用できる」という過信は禁物ということです。
大切なのは、学生がどこで情報を集めているかをきちんと把握したうえで、そこに届く方法を選ぶこと。今回のアンケート結果は、そのことを改めて教えてくれた気がします。
■ まとめ:「王道」に惑わされず、地道な接点を大切に
採用トレンドに振り回されず、学生の行動実態を見据えた採用活動を。
就職情報サイトへの掲載、学校への訪問、合同説明会への参加——一見地味に見えるこれらの活動が、実は今も学生の心に届く王道ルートです。
SNS全盛の時代だからこそ、「アナログな関係づくり」の価値は、むしろ上がっているのかもしれません。
人手不足が深刻なトラック運送業界で、採用活動にお悩みの経営者の方は、ぜひ一度、足元の「地道な接点」を見直してみてください。
