採用難が続く運送業界では、社員や知人に人材を紹介してもらう「リファラル採用」に取り組む会社が増えています。
自社をよく知る人からの紹介は、定着率が高く、採用コストも抑えられるという点で、非常に魅力的な手法です。
しかし最近、この報奨金の設定をめぐって、法的なリスクが見落とされているケースが出てきています。
今回は、リファラル採用における「高額報奨金」の落とし穴についてお伝えします。
■ そもそもリファラル採用とは
リファラル採用とは、社員やその知人・友人に求人を紹介してもらい、採用につながった場合に会社が報奨金を支払う制度です。
ハローワークや求人媒体を使わずに採用できるため、費用対効果が高いとして注目されています。
ドライバー不足が深刻な運送会社でも、この仕組みを取り入れる動きが広がっています。
■ 問題は「報奨金の金額」にあります
リファラル採用の報奨金は、少額であれば「社内の慣行・お礼」として認められるのではないか?と考えられます。
ところが、あまりにも高額の報奨金を設定すると、話が変わってきます。
職業安定法では、厚生労働大臣の許可を受けずに「業として」職業紹介を行うことを禁じています。
報奨金が高額になると、紹介者が「利益を得ることを目的として、継続的・反復的に人材を紹介している」とみなされる可能性が出てきます。
つまり、「無許可の有料職業紹介事業」を行っているとして、職業安定法違反に問われる恐れがあるのです。
■ どのくらいの金額が「高額」にあたるのか
残念ながら、厚生労働省は「いくらまでなら合法」という明確な基準を示していません。
ただし、以下のような状況が重なるほど、違法性が高まると考えられています。
- 報奨金が数十万円を超えるような高額設定になっている
- 在籍社員だけでなく、退職者や外部の第三者も対象としている
- 何人でも何度でも紹介・受け取りが可能な無制限の設計になっている
- 採用が決まった時点ではなく、応募を紹介した段階で支払われる仕組みになっている
特に複数の条件が重なる場合は、「業として紹介している」と判断されるリスクが高くなります。
■ 適切なリファラル採用制度の設計ポイント
リファラル採用を安全に運用するためには、次の点を意識して制度を設計することが大切です。
- 就業規則に制度として明記する(透明性と社内ルールとしての位置づけを明確にする)
- 報奨金はあくまで「お礼の範囲内」にとどめる(目安として数万円程度が無難です)
- 対象者は在籍社員に限定する
- 採用が正式に決定した後に支払う
特に就業規則への明記と金額は重要です。「社内の制度として整備されている」ということが、営利目的の職業紹介との区別を明確にする根拠のひとつになります。
■ まとめ
採用に困っているからこそ、思い切った報奨金を設定したくなる気持ちはよく分かります。
しかし、高額の報奨金は「採用の工夫」ではなく「法律違反」として問われる可能性があります。
リファラル採用は、正しく設計すれば非常に効果的な手法です。
「就業規則への明記」と「適切な報奨金の設定」——この2点をしっかり押さえたうえで、安心して取り組んでいただければと思います。
ご不明な点があれば、ぜひお気軽にご相談ください。
