あなたの会社、大丈夫?「早出・残業許可制」の落とし穴とは?

あなたの会社、大丈夫?「早出・残業許可制」の落とし穴とは?

「うちは残業を許可制にしているから、問題ない」——そう思っている経営者の方は多いのではないでしょうか。しかし実際には、その「許可制」がきちんと機能していないケースが非常に多く、いざ労使トラブルが起きたときに会社を守れない状況に陥ってしまうことがあります。

今回は、社会保険労務士として実際にご相談を受けたトラック運送会社の事例をもとに、運送業の経営者がついやりがちな「残業代トラブルのとき、絶対にやってはいけない3つのこと」と、その乗り越え方についてお伝えします。

ある運送会社社長からの相談

先日、こんなご相談をいただきました。

「早出は許可制にしていて、許可がないものは労働時間として認めていない。だから残業代も払っていない。それで問題ないか?」

最初に正直にお伝えしました。「中小企業には、そのやり方は難しいです」と。ただ、詳しく話を聞き、出勤簿を確認したとき、私はこの会社には十分に希望があると感じました。その理由は、後ほどお伝えします。

やってはいけないこと①:形だけの許可制に頼ってしまうこと

就業規則に「残業は許可制」と明記している会社は多くあります。しかし、実際にそれを日々運用できている会社は、ほんの一握りです。

規則に書いてあっても、出勤簿の実態が「野放し」であれば、労働基準監督署にも、裁判所にも通用しません。大切なのはルールそのものではなく、「日々どう運用しているか」です。実際にどのように管理し、記録を残しているかが問われます。

「規則があるから大丈夫」という安心感は危険です。形だけの許可制は、トラブル発生時には何の盾にもなりません。

やってはいけないこと②:従業員の善意に甘えてしまうこと

運送業は、朝早くて夜も遅い業界です。責任感の強い従業員の方が、会社のために早出したり、無理をして働いてくれたりすることも少なくありません。

しかし、その「善意」に甘えて残業代を払わないでいると、将来的に大きなリスクになります。社長としては「ありがとう」の気持ちであっても、記録が残っていない、許可も出していない——その結果、「未払い残業代がある」と指摘されてしまうことがあるのです。

会社として取り組むべきは、その善意を「正式な申請」と「記録」という形に変えて、きちんと守ることです。従業員を守ることが、会社を守ることにもつながります。

やってはいけないこと③:最初からあきらめてしまうこと

「うちみたいな中小企業じゃ無理だ」「どうせ突っ込まれたら終わりだ」——そう思って、最初から諦めてしまっていませんか?

冒頭でご紹介した運送会社の社長は、毎日コツコツと許可を出し、手書きで記録を残し、実際にその分の残業代を支払っていました。これこそが「運用の実態」。つまり、いざというときに会社を守れる、勝てる会社です。

完璧である必要はありません。ただ「やってきたことが証明できる」、それだけで会社はちゃんと守れます。就業規則や賃金規程も大切ですが、最終的には現場での運用こそが力になるのです。

まとめ:小さな積み重ねが会社を守る

今回ご紹介した3つのポイントを改めて整理します。

  1. 形だけの許可制に頼らず、日々の運用・記録を徹底する
  2. 従業員の善意を正式な申請と記録で「見える化」する
  3. 中小企業でも、やってきたことが証明できれば会社は守れる

どんなに小さな会社でも、きちんと取り組んでいれば大丈夫です。「自分の会社にもできるかもしれない」と、少しでも前向きに感じていただけたら嬉しいです。