賃金制度コンサルの初回ヒアリング、あなたはどこから入りますか?
「基本給はいくらですか?」「残業代の計算方法は?」——。いきなりこうした質問から始めてしまうと、実はうまくいかないことが多いのです。今回は、私が運送会社への賃金制度コンサルで大切にしている「初回ヒアリングの入り口」についてお伝えします。
経営者も、実は緊張している
「社労士に頼んだら、最初からむずかしい話ばかりで疲れた」——運送会社の経営者から、こんな声を聞いたことがあります。
初対面の場では、経営者の方も緊張しています。社労士を前にして「何を聞かれるのだろう」「難しい話についていけるだろうか」と身構えてしまうのは、ごく自然なことです。
そんな状態でいきなり法律の話や賃金の細かい数字を掘り下げようとすると、当然スムーズにはいきません。ヒアリングの「入り口」を間違えると、どんなに中身が良くても話が前に進まないのです。
まず「運送の話」から始める
私が最初にするのは、こんな質問です。
- 「どんな荷物を運んでいますか?」
- 「地場が多いですか?長距離は最近減ってきていますが、御社はどうですか?」
- 「ルート配送とスポット便、どちらが多いですか?」
- 「元請けですか?何次請けくらいが多いですか?」
正直に言うと、これらの情報は賃金制度の設計に直接関係するわけではありません。でも、だからこそ意味があるのです。
経営者にとって、自社の仕事の話は「得意分野」です。緊張していても、自分の専門領域の話なら自然と言葉が出てきます。話しているうちに表情が和らいで、場の空気がほぐれてくる。それを狙っています。
「この社労士は、うちの仕事をわかってくれる」と感じてもらうこと
もう一つ、この冒頭のやり取りには大切な効果があります。
運送業界に精通した社労士として、「長距離が減ってきている」「下流の方の下請けだと、今後色々大変だ…」といった業界の実情を踏まえた会話ができると、経営者の方は「この人は運送業をわかっている」と感じてくれます。
その信頼感があってはじめて、賃金制度の踏み込んだ話ができるようになります。コンサルの本題より前に、まず「信頼の土台」を作ること——これが、初回ヒアリングで私が最も大切にしていることです。
まとめ
賃金制度コンサルの初回ヒアリングは、「法律の話」からではなく「運送の話」から始める。コンサルに直接関係しない情報でも、相手の緊張をほぐし、信頼関係を築く「入り口」として機能します。
次回は、緊張がほぐれた後に移る「本題のヒアリング」で押さえるべきポイントをご紹介します。
