物効法の特定事業者に指定されると、中長期計画の作成・提出という具体的な義務が発生します。「何を書けばいいのか分からない」というご相談をいただくことも多いので、今回は記載事項の中身と、実務で失敗しないためのポイントを整理します。
目次
なぜ中長期計画が必要になるのか
物効法では、保有車両台数150台以上などの基準に該当する特定事業者に対して、努力義務ではなく法的義務として、中長期計画の作成・提出が課されています。単に効率化に「取り組みます」と宣言するだけでなく、具体的な計画を立てて、国に提出することが求められる、という点が、一般の努力義務との大きな違いです。
提出頻度は「原則毎年度」、ただし5年に1度でよいケースも
提出の頻度は、原則として毎年度提出することが基本とされています。ただし、計画の内容に変更がない限りは、5年に1度の提出でよいとされています。つまり、一度しっかりした計画を作っておけば、その後は大きな変更がない限り、毎年ゼロから作り直す必要はない、という運用です。事業者側の事務負担にも一定の配慮がなされた制度設計だといえます。
記載すべき4つの項目
計画に記載する内容は、物効法が求める3つの取組、すなわち「運転者一人当たりの一回の運送ごとの貨物重量の増加」「運転者の荷待ち時間の短縮」「運転者の荷役等時間の短縮」について、それぞれ次の4つの項目を記載することになっています。
- 実施する措置:具体的にどんな取組を行うか
- 具体的な措置の内容や目標:数値目標も含めた、より詳細な中身
- 実施時期:いつからいつまでに取り組むのか
- 参考事項
この4項目を見ていただくとわかる通り、単に「頑張ります」という精神論ではなく、具体的な数値目標と実施時期を明記した、実効性のある計画を作ることが求められています。
「絵に描いた餅」にしないための記載イメージ
たとえば「荷役等時間の短縮」についてであれば、次のような記載イメージになります。
- 実施する措置:主要な荷主先でのパレット化の推進
- 具体的な内容・目標:令和8年度末までに主要3拠点でのパレット化率を現状の割合から引き上げる
- 実施時期:令和8年度から令和10年度にかけて段階的に実施
このように、抽象的なスローガンではなく、数値と期限を伴った記載が求められます。つまり、「作って終わり」ではなく、実際に運用できる内容にしておかないと、後々の報告のときに苦労することになります。
現場を巻き込んで作る
中長期計画は、管理部門だけで完結させようとすると、実態から離れた内容になりがちです。配車担当の日々の実感や、荷待ち・荷役時間のデータを反映させながら作成することで、後の報告段階でつまずきにくい計画になります。計画作成の初期段階から、現場の声を拾っておくことをおすすめします。
未提出のリスク
中長期計画を提出しなかった場合、50万円以下の罰金が科される可能性があります。これは努力義務ではなく法的義務ですので、期限内の対応が必要です。金額の大小よりも、行政からの指導対象になり、対外的な信用に影響する、という点の方が、実務上は重い意味を持つと感じています。
まとめ
中長期計画は、単なる書類作成ではなく、自社の効率化の方向性を数値と期限で言語化する作業です。特定事業者に該当する、あるいは該当しそうな会社は、早めに現場を巻き込みながら準備を進めておくことをおすすめします。
