ダンプ業界に飛び込んで気づいたこと

ダンプ業界に飛び込んで気づいたこと

〜トラック運送専門の社労士が感じた「別世界」〜

 トラック運送業に特化して、気づけば約6年が経ちました。最初のころは手探りだったことも、経験を重ねるうちにそれなりの自信がつきはじめたところです。

 そんなとき、トラック協会のダンプ部会からセミナーの依頼をいただきました。内容は「ダンプ業界のトラック新法について話してほしい」というもの。同じトラック協会に所属しているし、ある程度応用すれば対応できるだろう——そう軽く考えていました。

「同じトラック業界」のはずが……

 ところが、準備を始めた途端に気づきました。これは、全く別の業界です。「同じトラック協会に所属している」という共通点だけで安心していた自分が恥ずかしくなるほど、ダンプ業界の常識は一般貨物のそれとかけ離れていました。トラック運送業界での常識も、社会保険労務士としての一般的な常識も、ほとんど通用しないのです。

 わかりやすい例が、新法に対する「興味の持ち方」の違いです。一般貨物の運送会社は、「更新制」「適正原価」「2次請けまでの制限」といったテーマに強い関心を示します。しかしダンプ業界が最も注目するのは「白トラ規制」。この時点で、根本から違うのです。

ダンプ業界ならではの構造的特徴

 一般貨物のような極端な多重下請け構造はダンプ業界には少なく、標準的運賃こそ十分には受け取れていないものの、特殊車両ということもあってそれなりに高い運賃水準にあります。また産廃分野などでは、更新制はすでにスタートしています。この点も、一般貨物とは状況が異なります。

 最も理解に苦しんだのが、白トラ規制における「雇用実態の確認」という概念です。一般貨物では、そもそも「1人親方」という存在がほぼあり得ません。許可取得のために最低5台の車両が必要であり、運転者と点呼執行者が同一人物になることも制度上認められていないからです。

 ところがダンプ業界では、1人親方が普通に存在します。さらに驚いたのは、その1人親方が建設現場などで日雇いの形で雇用契約を結ぶケースがあるということ。個人事業主である1人親方が他社と雇用関係を結ぶ——一般貨物の感覚からすると、非常に不思議な構造です。

 さらに「持ち込みダンプ」の問題もあります。持ち込みダンプの場合、業務上使用契約書を締結することが必要とされていますが、そもそも「持ち込み」という形態が名義貸しに該当して違法ではないのか、という疑問が拭えません。この点も、一般貨物では想定しにくい問題です。

「現場の実態」に後追いする法律

 今回のセミナー準備を通じて強く感じたのは、ダンプ業界の法律・制度は「現場の特殊な実態に対して法律が後追いしている」という印象です。1人親方の慣行や持ち込みダンプの文化など、長年の現場の常識として根付いていたものに、後から制度的な枠組みをあてはめようとしている。そのため、どこかぎこちなさが残るのかもしれません。

 正直なところ、今回のセミナー依頼は「専門外に踏み出す」ことへの不安もありました。しかし、この経験のおかげで、ダンプ業界という「知っているようで全く知らなかった世界」と向き合うことができました。

 トラック運送業と一口に言っても、その内側には想像以上に多様な「業界」があります。今回の経験は、私の専門領域をより広く、より深くするための大きな一歩になりました。まだまだ勉強することは山積みですが、それがまた楽しいとも感じています。今後も、こうした「発見」をこのブログでお伝えできればと思います。