「休職代行」は他人事じゃない ― 退職代行との決定的な違い

「休職代行」は他人事じゃない ― 退職代行との決定的な違い

最近、退職代行に続いて「休職代行」というサービスが広がりを見せているのをご存じでしょうか。

精神的に追い込まれて「どうしても職場に連絡ができない」という方が、弁護士を通じて休職の意向を会社に伝えるというものです。若手社員だけでなく、40〜50代の中間管理職、さらには公務員の利用も目立っているそうです。

依頼の背景も様々で、20代は転職を考えつつも退職に踏み切るリスクを避けたいというケース、40代以上は責任の重い業務に加え、家族の介護が重なっているケースなどが目立つそうです。出社できる状態ではない方も多く、職場との直接のやりとりがさらにメンタルを悪化させる恐れもあると言われています。

この話、経営者や人事担当の方にとっては「うちには関係ない」では済まされません。今日はこの「休職代行」について、退職代行との違いを踏まえながら整理してみたいと思います。

退職代行と休職代行、何が違うのか

退職には民法上のルールがあります。労働者から退職の意思表示があれば、企業は原則として14日以内に受理しなければなりません。つまり、基本的には労働者からの「一方通行の通達」という性質のものです。

ところが、休職には法的な定めが一切ありません。これは意外と知られていないポイントですが、「うちの会社には休職制度はありません」という会社があったとしても、法律的には何の問題もないのです。

  • 休職制度の有無は企業が自由に決められる
  • 休職できる条件や期間も、就業規則次第で企業ごとに異なる
  • 法的な最低ラインというものが存在しない

つまり休職代行を受ける側は、まず対象企業の就業規則を確認し、本人の状態がその条件を満たしているかどうかをすり合わせる必要があります。診断書の内容の解釈や、条件が抽象的な場合の交渉まで含めると、これは非常に専門性の高い対応です。弁護士以外がここまで踏み込むのは、実質的に難しいのではないかと感じています。

「休職は会社の指示で始まる」という大事な原則

もう一つ、企業側に知っておいていただきたいポイントがあります。休職というのは、就業規則の定め方にもよりますが、本来「会社が休職を指示して初めてスタートする」ものだということです。

つまり、現実的ではないかもしれませんが、休職代行から連絡が来たとしても、会社側が対応を断ることも可能です。ここが退職代行との大きな違いだと思います。退職代行は民間業者がかなり参入していましたが、休職代行については、弁護士以外が担うのはリスクが大きすぎるでしょう。実際、大手退職代行の運営元が弁護士法違反に問われた事件も記憶に新しいところです。

企業がすべきことは「慌てず、就業規則に基づく対応」

休職代行から連絡があっても、企業として慌てる必要はありません。まずは自社の就業規則に基づいて、粛々と手続きを進めることが基本になります。

ただし、その前提として「休職制度について就業規則に不備なく定めておくこと」は欠かせません。条件や手続きが曖昧なままだと、いざという時に会社側が困ることになります。

トラック運送業においても、ドライバーの方のメンタル不調による休職相談は決して珍しい話ではありません。休職の開始条件、期間、復職の手続き、休職中の連絡方法など、就業規則に一つでも曖昧な部分があれば、今回のような代行サービスへの対応で迷う場面が出てくる可能性があります。

この機会に、自社の就業規則の休職に関する条文を、一度見直してみてはいかがでしょうか。不備があれば早めに整備しておくことが、いざという時に会社を守ることにつながります。