深夜専門ドライバーが昼間も工事現場で働いていた!副業・兼業トラブルへの正しい対処法

深夜専門ドライバーが昼間も工事現場で働いていた!副業・兼業トラブルへの正しい対処法

こんな相談が届きました

「毎日22時から翌朝6時まで走る深夜専門のドライバーが、昼間は工事現場で働いていたことが発覚しました。どうすればよいでしょうか?」

これは、いわゆる「副業・兼業」に関するトラブルです。2024年問題(時間外労働の上限規制)の影響で、特にトラック・運送業界では収入減を補おうと副業に走るドライバーが増えています。今後、同様のケースはさらに増加することが予想されます。冷静に、正しい手順で対処することが大切です。

いきなり解雇はNG!まず安全配慮義務を考えてください

「黙って副業していたのだから解雇できるのでは?」と思われる方もいるかもしれません。しかし、さすがに、それだけで解雇することは難しいでしょう。

それよりもはるかに深刻なのが、安全配慮義務違反(過労)のリスクです。22時から翌朝6時まで夜通し運転し、そのまま昼間も工事現場で働くとなれば、睡眠はいつ取っているのでしょうか?

このような状態で万が一、業務中に居眠り事故や転落事故が起きた場合、会社側が「知らなかった」では済まなくなる可能性があります。労働者の健康・安全を守る義務は使用者にあります。発覚した以上、早急に対応することが求められます。

まずは「時短」を提案し、副業・兼業は許可制へ

発覚後の対応として、まず行いたいのが「働き方の見直し」の提案です。今の働き方では過労リスクが高すぎるため、副業の業務量を2〜3割程度減らすように提案するのが現実的な第一歩でしょう。頭ごなしに禁止するのではなく、対話を通じて安全な働き方を一緒に考えることが重要です。

そのうえで、今後は副業・兼業を「許可制」とし、就業規則に明確に規定することをお勧めします。具体的には、「副業・兼業を行う場合は事前に会社の許可を得ること」「許可なく他社で就労することを禁止する」といった条文を盛り込みます。

ただし、就業規則に記載するだけでは不十分です。「知らなかった」という言い訳を許さないためには、徹底した周知が必要です。社内掲示板にでかでかと張り紙を貼るくらいの勢いで、全員に確実に伝えることが大切です。規則は周知されて初めて効力を持ちます。

要注意!副業・兼業の「通算残業」問題

もう一つ、忘れてはならない問題があります。それが「労働時間の通算制度」です。労働基準法では、複数の事業場で働く場合、それぞれの労働時間を合算して時間外労働を計算する仕組みになっています。

最近は、この制度を知る労働者が増えています。たとえば「実は副業をしていました。他社での労働時間も通算すると、残業代が発生しているはずです。遡って支払ってください!」といった請求が起きるケースも出てきています。

では、過去に遡って支払う必要があるのでしょうか?

結論としては、副業の事実を「知らなかった」期間については、遡って支払う義務はないと考えられます。使用者が把握していない他社での労働時間まで管理することは事実上不可能だからです。

ただし、今回のように副業の事実を「知ってしまった」以降は話が変わります。どちらの会社に先に入社したか(先後関係)を確認しながら、今後の残業時間の通算・管理を適切に行う必要があります。細かい部分の確認を怠らないようにしましょう。

法改正の動向も注視を

この複雑な「通算制度」については、労働基準法改正の中で見直しが検討されていました。しかし、改正は進んでいない状況です。今後の法改正の動きを注視しながら、最新情報に対応できる体制を整えておくことが望ましいでしょう。

まとめ:副業・兼業への正しい対応ポイント

今回のトラブルから学べるポイントを整理します。

  • 安全配慮義務を最優先に考え、過労リスクを放置しないこと。
  • 発覚後はまず対話を通じて業務量の見直し(時短)を提案すること。
  • 副業・兼業は「許可制」として就業規則に明記し、全員への周知を徹底すること。
  • 「知らなかった」期間の遡り支払いは不要だが、知った以降の通算管理は必要。
  • 先後関係など細かな確認を怠らないこと。
  • 労働基準法改正の動向を継続的にチェックすること。

副業・兼業の問題は、2024年問題を背景にこれからも増え続けることが予想されます。「知らなかった」では済まされない時代に備え、今のうちから社内ルールの整備と周知徹底を進めておきましょう。