2024年問題によってドライバーの労働時間に上限がかかり、収入を補うために副業・兼業を始める方が増えています。会社として一番怖いのは、そのことを知らないまま放置してしまうことです。副業先での過労が事故につながったり、競合他社で運転業務をしていたりしても、把握していなければ何の対応もできません。今回は、副業・兼業を会社としてきちんと把握するための具体的な仕組みづくりを整理します。
目次
対策① 就業規則に「許可制」を明記する
まず土台になるのが、就業規則に副業・兼業は許可制であることを明記することです。あわせて、副業の申請書には次のような内容を記載させ、会社が実態を把握できるようにします。
- 他の事業場の事業内容
- 他の事業場で従事する業務内容
- 他の事業場との労働契約の締結日、期間
- 他の事業場での所定労働日、所定労働時間、始業・終業時刻
- 他の事業場での所定外労働の有無、見込み時間数、最大時間数
- 他の事業場における実労働時間等の報告の手続
副業を拒否できる要件も決めておく
許可制にする以上、どんな場合に拒否できるのかも、あらかじめルール化しておく必要があります。一般的には、次のようなケースが挙げられます。
- 兼業の内容または兼業先の事業が自社の事業と競合し、会社の利益を害するおそれがあるとき
- 兼業による疲労等により、会社での就業に支障が生じるおそれがあるとき
- 兼業により会社の機密情報が漏えいするおそれがあるとき
- 兼業が会社と社員の雇用契約上の信頼関係に反するとき
- その他、兼業により会社の業務に支障が生じるとき、またはそのおそれがあるとき
対策② 許可制を「徹底的に周知」する
就業規則を作るだけでは意味がありません。むしろここからが本番で、「周知」が命です。どんなに立派な規定を作っても、周知していなければ、いざという時に始末書一枚書かせることすらできないのが現実です。「知らなかった」という従業員には、規定の効力そのものが弱くなってしまいます。
申請書の整備と社内掲示
副業・兼業の許可申請書を作成し、勤務先・業務内容・就業時間などを記入させ、会社が内容を把握できるようにします。あわせて「副業・兼業は許可制」という告知を、休憩室やロッカー室など目につく場所に掲示し、「知らなかった」という言い訳をさせない環境を作ります。
朝礼・点呼での口頭告知と変更報告義務
定期的に口頭で確認することも効果的です。点呼のときに「副業している人は申請出しいますか?」と一声かけるだけでも、抑止力になります。また、一度許可を出した後も、業務内容や労働時間などに変更があった場合には届け出をさせ、定期的なチェックを入れることが有効です。
補足:そもそも「全面禁止」でいいのか
なお、副業・兼業を就業規則で全面的に禁止すること自体は、今も法律違反ではありません。ただ、働き方改革が進み、国も副業・兼業を推奨する方向に動いている今の時代においては、全面禁止のまま運用することは、以前より訴訟リスクが高まっているとも言われています。禁止するかどうかより、会社が実態を把握できる仕組みを持っているかどうかが、これからはより重要になってきます。
まとめ
2024年問題は今後も続き、ドライバーの副業・兼業は「増える前提」で考えるべき時代に入っています。就業規則に許可制を明記し、申請書で実態を把握し、周知を徹底する。この3つを地道に積み重ねることが、会社を守る一番の近道です。
