運送業のドライバーに歩合給を導入するときの賃金規程のポイント

運送業のドライバーに歩合給を導入するときの賃金規程のポイント

ドライバーの賃金に歩合給を取り入れている運送会社は少なくありません。しかし、賃金規程への記載が不十分なまま運用しているケースも多く、いざ紛争になったときに「歩合給として認められない」「残業代の計算方法が通らない」といった問題が起きることがあります。今回は、歩合給を賃金規程に定める際に押さえておきたい3つのポイントをお伝えします。

①「歩合給」だと明確にわかる名称をつける

まず重要なのは、歩合給であることが一目でわかる名称を使うことです。「歩合給」「出来高給」など、ストレートな名称が望ましいでしょう。

固定残業代をめぐる裁判では、「明確区分性」と「対価性」が判断基準になることが多いことはご存じの方も多いと思います。歩合給についても同様で、裁判になった際には「その手当が歩合給として認められるか」が争点になるケースがあります。「運行手当」「能率給」など、歩合給かどうかが読み取りにくい名称は避け、規程の中でも歩合給であることを明確に記載しておくことが大切です。

②残業代の計算方法を規程に明記する

歩合給には、通常の残業代とは異なる計算方法が認められています。具体的には、歩合給の総額を総労働時間で割って時間単価を出し、そこに0.25を掛けて割増賃金を算出する方法です。これが歩合給の大きなメリットの一つです。

ところが、この計算方法を賃金規程に明記していない会社がほとんどです。歩合給として認められたとしても、計算根拠が規程に書かれていなければ、裁判所に「通常の時間外割増で計算すべき」と判断されるリスクがあります。せっかく歩合給を導入していても、残業代の計算方法が規程に書かれていなければ、歩合給を使う意味が半減してしまいます。必ず計算方法まで規程に落とし込んでおきましょう。

③保障給も忘れずに記載する

歩合給制度には、「保障給」の考え方が求められます。固定給だけで賃金全体の6割以上を確保できているのであれば、保障給の規定を省略できる場合もあります。ただし、歩合給の割合が少しでもある場合は、明記しておくに越したことはありません。

実務上、運送会社のドライバーで保障給との比較計算が実際に必要になるケースはほぼありません。それでも規程に記載がないと、紛争になったときに不利な立場に立たされることがあります。「どうせ使わないから」と省かず、きちんと盛り込んでおくことをおすすめします。

まとめ:この3つが抜けると紛争時に不利になる

歩合給を賃金規程に定める際に押さえておきたいポイントを整理すると、次の3つになります。

  • 歩合給であることが明確にわかる名称で記載
  • 歩合給特有の残業代計算方法の明記
  • 保障給の記載

この3つが揃っていないと、いざトラブルになったときに歩合給制度が十分に機能しなくなるリスクがあります。歩合給を導入している、あるいは導入を検討している運送会社の方は、ぜひ一度、現在の賃金規程を見直してみてください。